
顔の茶色いブツブツ、まず何を確認する?
家族の行事を控えて写真を見返したとき、頬の茶色いブツブツに初めて目が留まる。ここ数週間で数が増えたように見えて、鏡の前で落ち着かない気持ちになる方もいるでしょう。年齢とともに増える老人性イボ(脂漏性角化症)は原因の候補の一つです。ただ、写真や触った感覚だけでは見分けられません。増えたと感じた時期、個数、色や形の変化を振り返っておくと、診察で状況を伝えやすくなります。この記事では、老人性イボの見た目の特徴、皮ふ科へ相談したい変化、自分で取らずに相談する流れを順に整理します。
この記事の要点まとめ
- 脂漏性角化症は茶色〜黒色で、平坦な斑点から盛り上がりまで見た目に幅があります。
- 色や形の変化、出血、続くかゆみ、短期間の増加は皮ふ科への相談目安です。
- 見た目だけでの判断は難しいため、自分で取らず診察後に治療や費用を相談しましょう。
老人性イボはどんな見た目で、いつ頃からできる?

老人性イボは、医学的には脂漏性角化症と呼ばれます。皮膚の表面(表皮)にできる良性の腫瘍で、皮ふ科の診療ではよくみられる病変の一つです。手のひらと足の裏を除く全身にできる可能性がありますが、とくに顔や体の上部に多いと報告されています1。
年齢との結びつきが強く、40〜50代ごろから目につきはじめ、年を重ねるにつれて数が増えていく傾向があります。ただし思春期や若い世代にみられた報告もあり、年齢だけでは判断できません2。できる仕組みはまだはっきりしていません。加齢や体質(遺伝的な素因)に加えて、長年浴びてきた紫外線も関わる可能性が指摘されています12。頬やこめかみなど日の当たりやすい場所で目立ちやすいのは、こうした背景によるものと考えられます。
平らな斑点から盛り上がりまで、見た目には幅がある
典型的なものは茶色から黒っぽい色をしています。表面はざらざらしていて、ろうそくのロウを垂らしたように少し盛り上がるのが特徴です1。一方で、できはじめはシミに近い平らな斑点のこともあります。厚みや色の濃さは人によって違い、同じ顔の中でも一つひとつ異なります。数ミリ程度の小さなものが、頬に点々と並ぶこともあります。
こうした特徴に当てはまっても、それだけで老人性イボと決まるわけではありません。
「急に増えた」と感じたときに振り返りたいこと
「急に増えた」と感じる場合、可能性は二つに分けられます。以前からあった小さなものに、写真や照明の加減で初めて気づいたケースと、新しいものが短期間に実際にできているケースです。自分では区別がつきにくいため、次の点を振り返っておきましょう。
- いつ頃から増えたと感じたか(数週間か、数か月か)
- どの部位に、およそ何個あるか
- 大きさや色が変わったものはあるか
スマートフォンに残っている1年前の写真を見返すと、変化の時期を思い出す手がかりになります。
似た病変との区別と、皮ふ科へ相談したい変化
ほくろや日光角化症と見た目だけで区別しにくい理由
顔にできる茶色いブツブツは、老人性イボだけとは限りません。ほくろ(色素細胞母斑)、シミ(日光黒子)、日光角化症など、見た目の似ているものがいくつかあります。日光角化症は長年の紫外線の影響で生じる皮膚の変化で、早めに確認しておきたい病変の一つです。色の濃さや盛り上がり方が重なることもあるので、インターネットの画像と見比べても病名は決められません。
皮ふ科では、目で見るだけでなく、拡大して詳しく観察します。それでも判断が難しい場合は、皮膚の一部を採って調べる病理検査を検討することもあります1。治療を希望する場合も、取る前に「何なのか」を確かめることが出発点です。
色・形の変化、出血、かゆみがある場合
老人性イボでも、かゆみを感じることはあります1。それでも次のような変化があるときは、様子を見続けずに早めに皮ふ科で相談しましょう。
- 数週間〜数か月のうちに色が濃くなった、形がいびつになった
- 触れていないのに出血する、じくじくする、傷がなかなか治らない
- 短期間にたくさん増えたと感じる、かゆみが続いている
タオルや服の襟に繰り返しこすれて気になる、という理由で受診しても構いません。いつ、何に触れたときに気になるのかを伝えていただくと、生活に合わせた対応を考えやすくなります。
自分で取らずに相談するには?診察から治療検討まで
ブツブツが引っかかると、爪で削ったり引っ張ったりしたくなるかもしれません。ただ、自分で処置すると、取ろうとしているものが本当に老人性イボなのかを確かめられないままになります。皮膚を傷つければ、出血や炎症、色素沈着につながることもあります。根元が残っていれば、また同じ場所にできてくる場合もあります。
市販品や塗り薬についても注意が必要です。塗り薬による治療は研究段階のものが多く、効果や安全性の評価はまだ定まっていません3。顔の皮膚は薄いので、自己判断で使う前に相談しておきましょう。
皮ふ科は「診察だけ」でも受診できます。ブツブツが何なのかを確認してから、治療するかどうかを決めて構いません。老人性イボは良性なので、治療が必須というわけではありません。見た目や引っかかりが気になる場合に除去を検討する、という考え方が一般的です2。結婚式などの予定がある方は、処置後の赤みやかさぶたが落ち着くまでの期間も考え、予定日から逆算して早めに相談しておくことをおすすめします。
治療を希望するときに確認したい費用と通院の見通し
保険診療になるか自由診療になるかは、診断や治療方法によって変わります。保険診療の液体窒素による冷凍凝固は、処置料が3割負担で1回あたり数百円程度が目安です(別途、診察料などがかかります)。1〜2週間ほどの間隔で、数回の通院が必要になることもあります。
自由診療の炭酸ガスレーザーは、1回の照射で終えることが多い治療です。費用は大きさや個数によって幅があり、一般的な相場は直径数mm程度のもので1個あたり3,000〜1万円程度、顔に複数ある場合は合計で数万円程度になることもあります(別途、診察料や麻酔代、処置後の塗り薬代などがかかる場合があります)。照射後はかさぶたが取れるまでに1〜2週間ほどかかり、経過確認のため1〜2回程度の通院が必要になることがあります。ここで示した費用は一般的な相場であり当院の費用ではありません。当院の費用は診察のうえでご案内します。
自由診療には公的医療保険が適用されません。処置のあとには、次のような症状が生じることがあります。
- 処置中・処置後の痛み(レーザーでは局所麻酔を使うことがあります)
- 赤み、腫れ、ヒリヒリ感
- 水ぶくれ、かさぶた(冷凍凝固では水ぶくれができることがあります)
- 一時的な色素沈着(茶色っぽさが数か月続くことがあります)や、色が抜けて白っぽくなること
- 浅いくぼみなどの傷あと
- 取り残しや再発により、追加の処置が必要になること
診察のときは、次の点を聞いておくと見通しを立てやすくなります。
- 赤みやかさぶたはどのくらい続くか
- 通院は何回くらい必要か
- 予定日までにできることと、予定のあとに回したほうがよいこと
クリニックの機器は、診察後に必要性を検討
皮膚の状態を画像で確認する機器や、種類の異なるレーザー機器などが診療に用いられることがあります。ただし、機器があることと、その方の老人性イボに使うかどうかは別の話です。処置が必要かどうか、どの方法が合うかは、病変を診察してから判断します。
春日井で顔のブツブツを相談する際の準備
仕事やご家族の通院の付き添いがあると、受診できる日は限られがちです。処置後に再診が必要になる場合もあるので、通いやすい場所にあるか、予約が取りやすいかも、医院を選ぶうえでの判断材料になります。
受診先を選ぶ際は、顔のブツブツについて診察を受けられるか、治療の必要性や費用を相談できるかを確認しておくとよいでしょう。当院も含め、診察時には気になる症状やこれまでの変化を伝え、疑問点を質問することが大切です。通院が必要になった場合の予定も考えておきましょう。
受診前には、予約が必要かどうかや、診察時に必要なものを確認しておくと安心です。予約方法などは変わることがあるため、各医療機関の公式サイトで確認してください。
当日は、気になるブツブツの位置が見えるようにメイクを控えめにしてお越しください。振り返ったメモと以前の写真を持参すれば、限られた診察時間でも経過を正確に伝えられます。
よくある質問
Q1. 見た目が気になるだけで、皮ふ科を受診してもよいですか?
A. はい、受診していただけます。何ができているのかを確認するための「診察だけ」の相談も可能です。治療をするかどうかは、診断を聞いてから決めて構いません。
Q2. 引っかかるブツブツを自分で取ってもよいですか?
A. 自分で取るのは控えてください。病変の種類を確認できないうえ、出血や炎症、色素沈着のきっかけになることがあります。気になるときは、触れないようにして受診時にご相談ください。
Q3. 予定日まで2か月ほどあります。今から相談しても間に合いますか?
A. どの程度まで対応できるかは、病変の種類や数、選ぶ方法によって変わるため、一律にはお答えできません。処置後の赤みやかさぶたが落ち着くまでの期間も含めて、診察時に予定日をお伝えのうえ、一緒に見通しを立てましょう。
Q4. 脂漏性角化症とメラノーマの違いは、自分で見分けられますか?
A. どちらも茶色〜黒っぽく見えることがあり、ご自身での見分けは困難です。色や形が短期間で変わった、出血がある、といった場合は早めに皮ふ科で確認してください。
Q5. 一度取った老人性イボは、またできますか?
A. 処置した場所に再びできることや、別の場所に新しく生じることがあります。紫外線対策を続けながら、気になる変化があれば都度ご相談ください。
参考文献
1. Barthelmann S, Butsch F, Lang BM, et al. Seborrheic keratosis. Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft. 2023. PMID: 36892019 / DOI: 10.1111/ddg.14984
2. Gorai S, Ahmad S, Raza SSM, et al. Update of pathophysiology and treatment options of seborrheic keratosis. Dermatologic Therapy. 2022. PMID: 36226729 / DOI: 10.1111/dth.15934
3. Natarelli N, Krenitsky A, Hennessy K, et al. Efficacy and safety of topical treatments for seborrheic keratoses: a systematic review. The Journal of Dermatological Treatment. 2023. PMID: 36215682 / DOI: 10.1080/09546634.2022.2133532
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